朝、一人で
朝ごはんを食べて、
日課の家事と ブログを書いて
午前中が終わる
お昼は、娘と一緒に
昨夜の残りと
簡単に作ったものを食べる
・ ・ ・
午後のオヤツに
オーブンで
サツマイモを焼いて、
岩塩と シナモンを・・
そして、YouTubeで
『パーフェクトデイズ』を撮った
映画監督の インタビューを聞いた
映画の主人公は
平山という 初老の男(役所広司)で、
古い 小さなアパートで
公衆トイレの掃除の仕事をしながら
一人 淡々と生きている
セリフはあまりなく
説明的なものは
できるだけ 省いて、
偶然 起こることを できるだけ
そのまま 撮るようにしたらしい
だから
フィクションでありながら、
ドキュメンタリーのような
映画になったと言う
予告で見た 男の部屋は
簡素で 清潔で、
必要なものと
愛情を込められたものが
すべて 手の届くところにあって、
そこに住む 平山という男は
とても 幸せそうなんだった
その部屋を見て、
昔 実家の隣に住んでいた
Nさんのアパートを思い出した
Nさんと私は 同級生で
隣同士ということもあり、
お互いの家で よく遊んだ
Nさんのアパートには
お風呂がなく、
共同のシャワー室と
トイレがあった
台所は 廊下にあったので、
そこも もしかしたら
共同だったのかもしれない
Nさんの両親は 離婚していて、
スーパーで働く お母さんと
二人暮らしだった
Nさん親子のほか、
そのアパートには
誰も 住んでなかったので、
共同のものは
どれも 自分たち専用の
ようになっていた
Nさんの部屋は、
平山の部屋のように
ものが 少ないわけではなかったけれど、
いつもきれいに 整頓されていた
お母さんも Nさんも
キレイ好きだったんだと思う
どんなものも
大切にされている感じがした
Nさんの台所の窓からは
私の家が見えて、
そこから見る 自分の家は
なんだか やけに大きくて
ちょっと 威張って見えた
私の家は 家族が多くて、
ものが いつも
ごちゃごちゃに溢れていて、
いつも 騒がしかった
Nさんの部屋を真似て
キレイに整頓しても、
次の日には また
ごちゃごちゃになっていた
Nさんとのエピソードで
ずっと 忘れられないものがある
Nさんは 当時
TMネットワークが好きで、
一緒に 聴いているうちに
私も だんだん好きになった
それで、CDを買うと
いつも 録音したカセットを
Nさんに 貸して、
この曲 最高だね〜なんて
一緒に 盛り上がっていた
貸した カセットは
そのまま 却ってこないことも
ときどきは あったのかも
しれないけれど、
あんまり よく覚えていない
ただ 一度だけ、
新しい CDを買ったとき
このカセットに 録音してと
頼まれて 手渡されたカセットが、
ずいぶん前に 私が
貸したままのものだったと
気づいたとき、
なんだか 裏切られたような
感じがした
これ 私のだよね?と言うと、
Nさんは 照れたように
へへへと笑った
その顔を 見たとき、
私は Nさんのことを
ちょっと 嫌いになった
そして、自分のことも
ちょっと 嫌いになった
Nさんに貸した
カセットのことなんて
すっかり 忘れていたくせに、
盗られたと思った
自分にも 腹が立ったんだと思う
カセットにしてみれば、
大事にしてもらう方がいい
Nさんがしたことは、
いいことじゃないかも
しれないけれど、
自分の中にある 卑しさも知った
Nさんは その後、
新しい アパートへ引っ越して
高校も 別のところへ行ったので、
もう ずいぶん 会っていない
アパートも、
ずいぶん前に 取り壊された
Nさんの アパートの窓から
威張って見えた 私の家も、
今 住むのは 父と母だけになり
去年 小さな家に建て替えた
あの時 あった
いろんなものも
そこにいた人たちも、
いつの間にか いなくなった
あの出来事を 思い出すたび、
毎回 ちょっとずつ 違った
印象になっていて、
自分も 大人になったって
ことなのかもかなぁと思う
パーフェクトデイズの
主題歌を聴いたとき、
しばらく 会ってなかった
友だちに会ったみたいに、
とても 懐かしい気持ちになった
その曲は、昔
別の映画のサントラにも
使われていた曲で、
その当時 何度も 何度も
聴いた曲だった
あのCDも いつの間にか
どこかへ行ってしまったけれど、
こんなところで
再会できて、うれしい
この世の中にあるものは、
どれも 全然
完璧には見えないけれど・・
完璧じゃないからこそ、
絶妙なバランスで
成り立ってるんだろうなぁ。。
それが たぶん、
すごく 完璧なんだと思う
・ ・ ・
夕方、買い物帰りの
道ばたにて